【時と共に…】


この季節

風に乗って香る「キンモクセイ」

高校生だったある日、しばらく連絡がつかない一人暮らしの祖父が、ひっそりと自宅で息を引き取っていたことを知らされた。

死後何日か放置されていたというショックと、最後に何かメッセージを伝えたかったのではないかという想いに囚われた。

あの日、高校を飛び出して、スクールバスを待たずに駅までの道をひたすら走っていると、ふと、キンモクセイが香った。

そして私は、大好きなその香りが、悲しく辛い香りとして心に刻まれてしまう。

毎年、キンモクセイが香ると胸が苦しく、祖父に会いたいと涙が流れた。

 

だけど今年。

今年もまた、ふわっと香るキンモクセイに気づいて私は「あぁ、いい香り」と独り言を言っていた。

あんなに苦しく、辛かった、嫌いになったと思っていた香りが、また新しい季節の移り変わりを知らせる大好きな香りとなっている。

 

だから今、

もし、どん底だと思うような状況にいる人も

もし、嫌な思いをして、もう立ち直れそうにないと思える状況にある人も

 

信じてほしい。

 

時間は確実に傷を癒してくれるのだと。

時間は嫌なことをいつか話せるようになるまで自分を癒してくれるのだと。

「キンモクセイ」

私の大好きな香りフリーアナウンサー 藤井千代美の独り言イメージ画像

 

 

 

 

 

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